近年、自動車業界は「CASE」「MaaS」という言葉に象徴される技術変革期を迎えています。技術革新や市場ニーズの変化はもちろんのこと、車を“所有する”から“共有する”フェーズへと進む中で、モノづくりだけではなく顧客体験そのものを創造していくことが求められています。
これまで時代のニーズに技術で応えてきた古河ASと、モビリティ革命に代表される今後の「CASE」「MaaS」との関わり、製品や技術について、古河AS 常務取締役兼執行役員 山井智之さんにお話を伺いました。三回に分けてお届けします。

「CASE」と「MaaS」。業界を取り巻く環境と変化していく市場ニーズ


―まず業界動向についてお伺いします。

「自動車を取り巻く業界において、技術革新のスピードが益々上がり、開発の競争が激しくなってきております。 一方でそのマーケットについては、より高い快適性やプレミアムを求める先進国向けと、基本的な移動手段としての需要が高まる先進国以外という2つが存在しております」
「「CASE」「MaaS」のような次世代技術は、先進国向けのグレードの高い車や特殊用途の車から徐々に広がっていき、いずれそれ以外のマーケットにも広がっていくと予想しています。当面は前者への広がりが主であり、浸透にはそれなりの時間を要すると考えております」

―広がりとともに、注目されているのが「シェアリング」「自動運転」です。これについてはいかがでしょうか。

「まずシェアリングについてですが、これまで車の所有は一家に1台、一人に1台といったかたちで、通勤や通学などの日常生活の一部や休日のレジャーで使われるのみというのが一般的で、稼働率も1桁台でした。しかし、年々増加している車両のシェアリングに伴って、70〜80%まで上がることが判明しています。稼働率が増えるということは車両の耐久性の向上が不可欠であり、現在よりも数段上の高信頼性、高耐久性を持たせることが必要となってきています」

シェアリングにより稼働率が上がっていくという自動車。
「CASE」「MaaS」の波を受け、自動車の機能やニーズが変革を遂げていく中、古河ASの担う役割とは一体どのようなものでしょうか。

 

自動運転において古河ASが担う領域「センシング」


 

―『自動運転』における古河ASの役割・立ち位置をうかがえますか?

「CASEのA、自動運転では、認知・判断・操作 の3段階が必要となりますが、この中で古河ASが製品を提供している具体的な領域は認知、すなわちセンシングの部分です」

センシングとは、センサを用いてさまざまな情報を計測・数値化する技術のこと。モノや環境、外を見る等直接的に車外部の障害物を検知するほかに、車内部環境を検知するといった役割もあります。

「センシングに関わる主な製品には、周辺監視レーダ、鉛バッテリ状態検知センサが挙げられます」
「また、車として一連の動作を行っていくための電力の供給や通信が、現在より1.5〜2倍と大きくなり、隠れた部分ではありますが、ワイヤーハーネスの進化に取り組み、自動運転の実現と普及に貢献します」

車の中枢機能を担う製品を数多く開発している古河AS。
ワイヤーハーネスについては第一回のプロジェクトストーリーにても詳しく伺いました。

「製品づくりにおいては、その信頼性が最も重要です。そのためには、既存製品の進化と同時に、高い信頼性と機能の向上を満たした新たな製品を創出する技術が必要になります」

信頼性の高い製品を世に送り出し続けてきた古河ASの、もっとも大切にしていることのひとつ、技術開発。
自動運転に生かされるセンシング技術とは?
培われた技術の結晶ともいえる製品について、技術面からさらに詳しく掘り下げていきます。

 

センシングで他社と一線を画した古河ASの技術「パルス方式」


―自動運転実用化に向けて、様々な技術が必要になるかと思いますが、それに関わる古河ASの製品について詳しくお伺いします。

「先ほどお話しした周辺監視レーダは、周辺の物体の位置や速度を直接センシングし、周囲環境を認知することを可能にする製品です。パルス方式と呼ばれる、他社とは一線を画すユニークな方式で、電波の発信と受信、変換を用いることによって解像できる密度や、分離性能の高さが、特徴の製品です」

「自動運転実現を間接的に支えるセンシング領域では、鉛バッテリ検知センサの提供を行っています。バッテリのセンサにもパルス方式を採用しており、これらは世界の競合メーカーには搭載されていない古河AS独自の方式です」

―センシングには直接的な領域と間接的な領域があり、それぞれに古河ASならではの技術的特徴があるということですね。
鉛バッテリ状態検知センサにおける、競合メーカーからの差別化技術であるパルス方式とはどのようなものでしょうか。

「通常のセンシングは出入りする電流と電圧を測って推定をかけますが、古河の鉛バッテリ状態検知センサは、従来の機能に加えて、センサ自らがバッテリ側をパルス的に放電させ、その内部抵抗をアクティブに測って導き出す性能を持っています。それにより精度が格段に向上し、バッテリのリアルタイムな健康状態やエンジン停止時からの始動能力など、今まで測れなかったものが測定できるようになりました」

―それは画期的な技術ですね。
ワイヤーハーネスについてはいかがでしょうか。

 

ワイヤーハーネス、それを構成するα端子によるCASE優位性とは


「自動車のエレクトロニクスを基幹で支えるワイヤーハーネスにおいては、自動運転の波及やCASEのトレンドによって電装部品の搭載数が増え回路数が年々増加しています。そのような状況下で車としての運動性能や安全性能を損なうことなく、車両全体の設計が成立することを前提に、軽量化が強く求められています。軽量化の有効な手段として実現したアルミワイヤーハーネスへの需要が非常に高まってきています」

アルミワイヤーハーネスにはその接続技術としてα端子を用いており、その技術は第二回のインタビューでも詳しく伺いました。

「この技術はアルミワイヤーハーネスを車両に搭載する難しさを一気に解決する手段となりました。競合他社もアルミ化に対する様々な解決策を講じていますが、一番大事な防食性能を達成することとコストの両面において古河ASの技術は抜きんでており、業界内でも優位性を持って製品提供を行っています」

古河電工グループの技術を融合して実現したこの製品は、競争優位性が高いのはもちろんのこと、来たる自動運転が実現した社会においても大きく貢献していくことでしょう。

 

5G技術がもたらす未来と古河AS


―自動運転というと、5Gの登場もトピックスになるかと思います。5Gの普及についてはどうお考えでしょうか。

「自動運転は、マーケットや搭載される車種も、一部から徐々に…というように段階的に行われています。5Gにおいても、今後恩恵を受けることは間違いないですが、社会全体のインフラと兼ね合わせた基盤技術の話になってくるので、車両に対する古河ASの製品提供に限定すると、5Gの普及に伴って一気に商品群が変わるということはありませんが、車両内での大容量、高速通信への技術的備えは確実に進めています」

―なるほど。製造現場においてはいかがでしょうか。

「工場や製造現場におけるIoTやAIを用いた制御は、既に社内ロードマップが立てられており、それに沿って一部実施が始まっています」

5Gは運転を補完する技術としてだけでなく、製造においても大きな役割を担っていくことが予想されます。

 

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おわりに

今回は、「CASE」と古河ASの関わりについてお伺いしました。
自動車業界においては大変な過渡期を迎えつつあり、次世代技術の実現に向け、各社開発競争が進んでいます。さらに市場ニーズの変化によって、求められる性能や機能も変わりつつあります。
加速度的に変化を遂げていく中でも、古河ASならではの技術が強みとなる製品によって着実に、自動運転が実現する社会に大きく寄与していくのではないでしょうか。
次回はCASEのS、Shared & ServicesやMaaSといった切り口から、古河ASの関わりについて伺います。


今後もインタビューは随時更新予定です。
引き続き古河ASのプロジェクトストーリーをお楽しみください。