古河ASでは古河電工グループ全体で推進している「NF(New Furukawa)生産方式」をグローバルに展開し、各拠点で「ものづくりの改善活動」に取り組んでいます。NF生産方式の中核となるのは「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」という2つの柱です。「ジャスト・イン・タイム」 (以下J.I.T)は、必要なモノを、必要な時に、必要な分だけ生産・運搬するという考え方です。一方の「自働化」は、100%良品をつくることを前提にし、設備や作業に異常があれば工程内で即座に検知し、速やかに再発防止を図るという一連の仕組みを指します。このNF生産方式に基づいた原価低減活動を推進しているのがNF改善部です。今回は、そんなNF改善部が毎年開催している恒例イベント「グローバルNF改善事例発表会」をご紹介します。2025年6月に行われた第9回の模様を、運営を担当した樋口さんと中川さんとともに振り返りました。 

目次

      • 古河ASのグローバルなNF改善活動
      • 地元からの転職で、新たなキャリアの一歩を
      • 「第9回NF改善事例発表会」の様子をレポート!
      • 印象に残った優勝チームの取り組み
      • 運営が感じた手応え、そして次のステージへ
      • 次代を担う若手の挑戦─グローバル視点で実行力を磨く

古河ASのグローバルなNF改善活動


グローバルに事業を展開する古河ASでは、毎年「グローバルイベント」と称した一大イベントを開催し、「安全」「品質」「技能」「改善」の4つのテーマで数日間にわたり各種イベントが行われます。このうち「改善」カテゴリに位置づけられる「グローバルNF改善事例発表会」は、各拠点でNF生産方式の改善手法を活用し、取り組んだ改善事例とそれによって得られた成果について発表を行う場で、今年で9回目の開催となりました。

発表されるテーマは、拠点ごとに製造している製品や工程が異なることから、非常に多彩です。どの工程を改善の対象とするかによって内容は大きく異なり、年々そのバリエーションも広がっています。審査においては、「NF生産方式」を取り入れた改善手法によって成果が出ているかどうか、そして他拠点への展開が可能な内容かどうかが、主な評価ポイントとなっています。これまでに発表された事例の中には、実際に他拠点への展開によってグループ全体の原価低減に大きく貢献しているものもあります。

 

「第9回NF改善事例発表会」の様子をレポート!


発表会のエントリー拠点は年々増加しており、今年は過去最多の国内外15拠点からエントリーがありました。その中で予選会を勝ち抜いた8拠点が取り組んできた改善事例を発表しました。

当日は、古河ASの幹部陣が審査員として参加し、各チームは、少しの緊張感をにじませながらも、真摯にプレゼンテーションに臨みました。どのチームも資料構成に工夫を凝らし、発表からは綿密な準備と繰り返しの練習の様子が伝わってきました。発表後は質疑応答が行われ、審査員からは詳細に踏み込んだ質問や改善内容への前向きなコメントが寄せられました。

すべての発表が終わった後、幹部による厳正な審査が行われ、各拠点の採点結果が発表されました。

今回は上位3チームと特別賞が選出され、坂本社長より賞状が授与されました。見事優勝に輝いたのは、ワイヤーハーネス製造工場における生産リードタイム改善に取り組んだチームで、優勝が発表された瞬間、会場からは大きな拍手と歓声が湧き上がりました。

優勝チームの発表の様子

表彰を受ける優勝チームの皆さん

 

印象に残った優勝チームの取り組み


優勝チームの発表で印象的だったポイントについてイベントの準備から運営までを担ったNF改善部の樋口さんと中川さんに話を聞きました。

樋口さんは、NF改善のツールを効果的に活用していた点が特に印象的だったと話します。

「『物と情報の流れ図』を使って現状を丁寧に把握し、問題点を明確にしたうえで、現状とあるべき姿とのギャップを埋めるように改善を重ねていました。さらに、NF生産方式の改善ツールである『標準作業組合せ票』『標準作業票』などの帳票を活用し、改善の前後の変化がわかりやすく整理されていて、資料としての完成度も非常に高かったです。まさにNF改善の基本に忠実で非常にレベルの高い発表でした」

NF改善部の樋口さん

中川さんも次のように振り返ります。

「優勝チームは、現場の課題を徹底的に洗い出し、改善に取り組んでいました。改善すべき多くのことを見つけ、それに対して結果をしっかり出した点が非常に良かったと思います。そして何より、改善に向き合う真剣な姿勢と意識の高さが印象的でした」

NF改善部の中川さん

 

運営が感じた手応え、そして次のステージへ


さらに二人に、イベントを終えての率直な感想を語ってもらいました。

樋口さんは、ツール活用の広がりと発表の質の向上に手応えを感じているようです。
「今回は優勝チーム以外にも、NF改善のツールをしっかりと活用した発表が多く見られました。各拠点がNF生産方式の考え方・改善手法を理解し、実行に移してくれていると感じています。開催を重ねるごとに、確実に定着・進化していることを実感しています。運営として『もっとこうできたかも』という反省もありますが、まずは無事に終えることができてホッとしています」

中川さんは、現地の実態に触れる貴重な機会になったと話します。
「普段、海外拠点がどんな改善をしていて、どんな課題を抱えているのかを知る機会は限られています。今回のようなイベントを通じて、それぞれの現場の取り組みを直接知ることができたのはとても有意義でした。改善に対する意識は海外にも着実に浸透しつつありますが、拠点ごとのNF改善手法の活用状況には、まだ大きな差があると感じました。全体のレベルは確実に上がってきているものの、古河ASのNF改善部としてさらにできることがあると思いますので、今後も継続的に取り組んでいきたいです」

表彰式チームの皆さんで記念撮影

次代を担う若手の挑戦─グローバル視点で実行力を磨く


NF改善部に所属する樋口さんと中川さんは、それぞれ担当拠点を受け持ち、日々グローバルな改善活動に携わっています。

現在入社4年目の樋口さんはフィリピン、3年目の中川さんはベトナムを担当。今回の発表会では、担当拠点のメンバーと直接顔を合わせ、言葉を交わす機会にも恵まれたといいます。

イベント当日の樋口さんと中川さん

古河ASでは、グローバル人財の育成に注力しており、若手・中堅社員を対象にした6か月間の海外トレーニー制度を導入しています。樋口さんは今年、この制度を活用してフィリピンに赴き、現地での改善活動に本格的に取り組む予定です。

「私はまだ、当社の生産量の大半を占める海外工場での改善経験がありません。この機会を活かして、自ら主戦場で改善を推進できるような人財になれるよう、挑戦していきたいと考えています」と語ります。

中川さんも「まだ海外出張の経験はない」としながらも、強い意欲を見せます。
「担当としてベトナムを受け持っていますが、実際に現地に行くのはこれから。改善の知識は少しずつ身についてきましたが、今後はそれを “使える力”として現場で発揮できるようになりたいです。今回のグローバルイベントを通して、自分に足りない部分にも改めて気づけましたし、今後に向けてしっかり準備していきたいと思っています」

グローバルな視点で現場に入り、実行力を身につけていく—
次世代の改善活動を担う二人の挑戦は、すでに始まっています。

おわりに

今回は古河ASの改善への取り組みと、「グローバルNF改善事例発表会」についてご紹介しました。

古河ASは、今後もNF生産方式の考え方を追求し、グローバルに改善活動を展開していきます。